U-Next31日無料を利用して毎日何を観る? 第11夜 バカナイトニッポン、第12夜 カルトドイツ
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前回はわりと真面目に選びました。
第11夜は視聴可能期間が迫っているものがあったので、急がねばということで、偉大なるバカ映画を。第12夜はドイツのカルト映画を。
第11夜1本目 『直撃!地獄拳』(石井輝男監督)1974年
86分 バカ5 エロ2
主演千葉真一のカンフーパロディバカアクション映画。全編安いつくりだが、それをふっとばすほどのイマジネーションの迷いのなさに爆笑。
シリーズ最初ということで、少年漫画みたいな登場人物紹介にたっぷり時間を使っているが、インパクトとバカ度がすごい。アクションはそこそこ。
主人公を演じるのは千葉真一。は甲賀忍者の血を受け継ぐ甲賀竜一。
元麻薬捜査官の殺し屋は佐藤充
二人に比べるとややインパクトが弱いが、エロ担当役の郷鍈治(ごうえいじ)
マジなシーンとギャグが地続きの素晴らしいつくり。色々なフォロワーがいるのも納得のパワー。ともかく見所満載なので、ぜひご覧あれ。
3月5日か6日くらいまで無料視聴可能。
他にも安岡力也や津川雅彦が敵で出演。真田広之が千葉真一の少年期役で出ていたりもする。
石井輝男監督はスーパーB映画のキングで特に会社がどうでもいい感じで依頼した映画が面白い。
個人的には『恐怖奇形人間』がベスト。
第11夜2本目 『直撃!地獄拳 大逆転』(石井輝男監督)1974年
84分 バカ4 オゲレツ度3
相変わらずバカであるが、ちょっとテイストが変わっていてややモダン。キャラわけが進んで隼猛はまともに、桜一郎がよりエロバカになっている。前作にあった登場シーンのような爆弾が今回はないのでインパクトはちょっと弱い。アクションはこちらがかなり上。三人のやりとりはギャグが面白い。音楽かっこいい、展開早い、下ネタ多い。個人的には第1作が好きだが、ファンの間ではこっちの方が評価が高い模様。
第12夜 『小人の饗宴』(ヴェルナー・ヘルツォーク監督)1970年
96分 小人暴れ度4 ニワトリ心配になる度3.5
少なくとも日本にはドイツの「バカ映画」はあまり入ってこないので、ちょっと趣向を変えてカルト映画。『アギーレ』や『フィッツカラルド』でのアマゾンロケ作で有名なニュー・ジャーマン・シネマの鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督の初期作。
1932年制作のトッド・ブラウニング監督作『フリークス』(奇形者や障害者を集めた見世物小屋映画)と並べて論じられることも多い。
話らしい話はあまりなく、小人たちが収容された施設で、指導員の隙をついて起こした暴動、解放された10名弱の小人たちがいたずらと狼藉の限りをつくすシーンが延々と映される。若干危険なシーンもスタントなどは使わず、小人たちが演じた。
公開当時は、ドイツでは映画界の自主規制で上映困難に陥り、公開後は様々な批判、抗議が寄せられた。批判・抗議・予想される嫌悪は次のようなもの。
・左翼シンパ批評家の批判:この小人の暴動劇は学生や若者の反乱をおちょくっており、ヘルツォークは「ファシスト」である。
・動物愛護団体の抗議(ニワトリの扱いがひどい、ラクダに何かしたのではないか?)。
・白人至上主義者たちによってヘルツォークが殺害リストにいれられる。
・カトリック教会は、小人たちの歌や儀式の場面を嫌うだろう(ヘルツォーク予測)。
ヘルツォーク自身は、あまり多くを語ってはいないが、「悪夢も夢も、ポリティカル・コレクトネスの規則には従わない」と発言している。
あまり真意はわからないが、とりあえず挑発的な映画であることは明らか。思想性が強いのかそうでもないのかも微妙。ヘルツォークによると、とりあえず小人症の役者たちの暴れっぷりと笑い声を見て欲しいとのこと。暴れるシーンは確かに生き生きしている。
例えば、同じく「普通ではない人間」を扱った『カスパー・ハウザーの謎』とは違って、あまり安心して観れないが、小さな破壊の享楽は感じられる。一度見ても損はない映画。
制作情報など
・カナリア諸島に小人症の出演者を集めて制作。役者集めには1年近くかかったが撮影・制作は5週間。特に笑い声などの音声に時間がかかったとのこと。
同じくヘルツォーク作品について過去記事。
*1:Herzog on Herzog. Edited by Paul Cronin. 2002 pp. 55-61