メナーデのドイツ映画八十八ケ所巡礼

メナーデとは酒と狂乱の神ディオニュソスを崇める巫女のことです。本ブログではドイツ映画を中心に一人のメナーデ(男ですが)が映画について語ります。独断に満ちていますが、基本冷静です(たまにメナーデらしく狂乱)。まずは88本を目指していきます。最近は止まっていましたが、気が向いたときに書いております。

zArAme

以前Cowpers(〜2002年)について書いた。

callmts.hatenablog.com

 

そのCowpersのボーカル・ギターの竹林現動(ゲンドウ)氏が2015年頃に始めたのがzArAme。Cowpersは昔聞いていて、そして、解散後も折に触れて聞いていて、あんまり音楽を熱心に探して聞かなくなった頃でも時々聞いていた。夜中に酔っ払いながら盛り上がって、ネットを検索したりしていたら、ゲンドウ氏がzArAmeを始めていたことを知って、CDを買ったり、その後ちょくちょくチェックしたり・・・。そんなバンドzArAmeについて。

 

バンドの音の特徴はパンク・ロックを軸にしながらも多彩。基本的にはゲンドウ氏の前バンドspiral codeで出されていた要素を、ギターを一本足して発展・開花させた形。最初聞いてるうちはやはりcowpersと比較して、ちょっと物足りないなあと思ってしまったが、spiral codeのストレートないい部分だったり、ダブ、サイケっぽい部分を強力に展開しているサウンドが心地よく、何度も聞いているとcowpersの影も気にならず、端的にカッコいい部分が耳に入ってくるようになった。

 

紹介するのは、

・コンピレーションアルバム『11』(以下をまとめている)

 1枚目ミニアルバム Last Order

 2枚目ミニアルバム(シングル?) Amnesia

 その後ライブ会場発売のcd

・フルアルバム『1』

・スプリット・シングル

 の三点。

 

オススメ順に書いていく。

 

 

『1』

„1“ 唯一のフルアルバム オススメ1位

竹林現動が、Gendou Deathとしてソロで発表した音源「キエルマボロシ」も含むフルアルバム。曲調は多彩だが、統一感あり。コンピレーション盤の『11』より音質もグレードアップ。

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  • アーティスト:zArAme
  • 発売日: 2018/06/27
  • メディア: CD
 

1曲目 „lowpride“ : ストレートにかっこいい。前バンドSpiral Codeの発展形だがギター二本になっているのがやっぱりカッコいい。ギターの人はcowpersのカズトモ氏よりは目立たないがいいプレイ。全体の音のバランスも聴きやすく仕上がっている。タイトルはアイドルとのコラボなども経ての自虐も込み?

2曲目 „スラッジ“:  イントロのギターのテンションがすごいと思ってるとこに入ってくるドラムがかっこいい。歌もテンション高し! 間奏からの展開が渋エモい。Cowpersに影響を受けたと思しきバンドJUNKHEADと感触が似ているが、より耳に残る形に仕上がっている。

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3曲目 „searchlight“: これもまずドラム! aメロとリフのやりとりをはじめ、全体にメロディがキャッチー。これもspiral codeの発展形という感じだがギター二本がやはりカッコいい。

4曲目 „isolation“: スロウでエモい曲。サビのフレーズが冬っぽい熱さ。整理されすぎてない荒々しいところが魅力。意外とすぐ終わってしまう。もう少し長く聞きたい曲。

5曲目 „アネモネ“ イントロが不協和音的な尖がったかと思いきや、歌メロが爽やか。

6曲目 „coldwave“ サビでダンスビートになる展開がカッコいい曲。演奏も最後まで気合が入っている。

7曲目 „unequalizer“ 前曲もそうだが、ゆったり部分がfugaziっぽい。ギターはこっちのが激しい。ギターのディストーションがものすごいかっこいい。

fugaziのclosed captionsとかを思い起こさせる。


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もっと似ている曲もありそうな気もするが、ひとまずこの曲を。fugaziのこの手の曲は、何回も聴いてるとすごい好きになる。

 

8曲目 „転生“  最初のギターの感じがcowpersにはなかった感じ。トロンボーンが入ったりして2000年代くらいのポストロックっぽい感じ? 

 

 

9曲目 „liquiddream“ ちょっと歌が可愛いzarameギターロック。ポップな曲はcowpers時代も結構あったが、「可愛い」感じまでいくのはあんまりなかったような気が。「再現できないジグソウパズル」のカバー(後述)でも思ったが、昔(1980年代とか)のアニソンのメロディーを感じさせる。

本家roosutersの「再現できないジグソーパズル」と比べるとゲンドウ氏の声の可愛さがわかる。

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10曲目 „微睡“ ギターの爆音がめちゃめちゃカッコいいイントロから、ドラムの音まで完璧な曲。AメロはCowpersだと男の哀愁が強くなってたような部分だが、ポップな哀愁になっている名曲(ちょっと可愛い)。サビ後の間奏などはギターの音だけで泣ける。展開も含めて『揺らし続ける』後半の「シアン」とかを思わせるが、重たすぎずに聴きやすい。

11曲目 „untitled“  つなぎ曲。Cowpersのアルバム„Lost“で言うところの„88“だが、このアルバムでは最後の曲が既発曲なので、流れは途切れる。„Lost“での„88“とか„Crawl Space“はアルバム全体の流れをうまくつないですごかったなと改めて発見。

12曲目 „キエルマボロシ“ アルバムからは切れているが、胸キュンの名曲。ナンバーガールにおける「イギーポップファンクラブ」みたいな曲。ゲンドウ氏が„Gendo Death“名義でソロで録音していた曲をバンドで再録している。Gendo Death版を未聴の方は以下を是非。

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元曲ですでに完成されているが、バンド感と勢いはやっぱりzarame版の方が上(特にドラム)。この曲もギターが泣ける。歌も加わってさらに涙腺爆発。

 

購入は本人たち運営のサイトでどうぞ。

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cowpers vs 200mph の Feedback Insanityも買えます。

amazonではもう買えない様子。

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『11』 

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  • アーティスト:zArAme
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 1-5曲目までは、Zarameの初EP『ラストオーダー』収録の5曲。

 6-11曲は2枚目のEP『アムネジア』などに収録の曲。

どちらも持っていない場合は、この『11』を買いましょう。

 

 

1-5曲目もカッコいいが、どちらかというと6-11の方が引き出しも広くてカッコいい。

特にオススメは6曲目「no fear」。最初のギターが、ギターロックのワクワク感を100パーセント体現。このアルバムでは6曲目だが、歌詞も所信表明のようで一曲目にふさわしい曲。

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ライブがYoutubeに上がっていた。テンションは上がりきっていないが、それでもカッコいい。

 

9曲目はサイケシューゲイザー、10曲目「アムネジア」はラップ調で始まりつつサビはギターがうねりまくる。11曲目は最初、ゆらゆら帝国やyume bitsuみたいなサイケデリック・ドリームな感じで始まるのが印象的。

曲調もいろいろで展開の引き出しも多彩だが、全てzArAme色になっていてカッコいい。

 

幅広く作れる分、cowpersの時のようなアルバム全体の色がちょっとぼやけているかもしれない。『Lost』も『ユラシツヅケル』も一枚通しての世界がすごくはっきりと見えたが、その点はzArAmeはぼんやりしているかもしれない。一曲一曲のクオリティーだったり演奏だったりは優れている。

 

 

アイドル(ヤなことそっとミュート)とコラボしてライブとかもしてたのが謎だけど演奏はかっこいい。「ヤなこと」は可愛いけど、どういった経緯でこんな話が成立したのか興味深い(ジンギスカンの話が薄すぎる)。おそらくプロデューサーがオルタナ路線をとったことから出てきた話(?)。Bishなどロック寄りのアイドルも結構いるけど、その中で、とんがっていこうと言う戦略(?)。ここからzArAmeファンが広がるかというと疑問だけど、一曲目LilyがzArAme演奏というのは大変面白い。原曲もすでにオルタナギターサウンドでカッコいいが、バンドでやるとリアル。4人アイドルの謎のダンスのフリとアイドルファンの歓声に馴染めないが、一人の歌姫陶酔系アイドルとバックバンドでマジでやったらもっとかっこいいかも。おっさんたちとアイドルのレアコラボ。

二曲目もかっこいい。原曲がすでに良いのだろう。この曲はアイドル4人のフリもかっこいい。ラストでゲンドウ氏(曲中はほとんど映らず)がギターを渡したりしている。

 

とりあえず彼女らがもっと売れてもいいのにと思う。曲は良い。

 

「ヤなこと」の曲も聞いてみたらオルタナ感ありのギターサウンドで結構いい。Perfumeのエレクトロワールドのギターがかっこいいてきな感じだけど、もっとオルタナ寄りサウンド

 

「ヤなこと」とのコラボについてゲンドウ氏のコメント ファーストフル„1“のインタヴューから

──今回のアルバムはゲンドウさんもめずらしく何度か聴き直しているそうですが、ご自身ではどんな部分が気に入っていますか。

G:良い意味で聴き流せるところでしょうか。ポップであることを恥じない。

──その姿勢は、たとえばヤなことそっとミュートやおやすみホログラムといった異色の対バンを積極的に行なうようになったことも関係していますか。

G:もともとカルチャーとしてアイドルは好きだったけど、ここ最近の楽曲派と言われるアイドル・グループのアプローチは見て見ぬ振りは決してできないクオリティだと思います。俺がそういうスタンスを取ることに批判的意見もあるだろうけど別に気にしない。言わせておけばイイと思う。