メナーデのドイツ映画八十八ケ所巡礼

メナーデとは酒と狂乱の神ディオニュソスを崇める巫女のことです。本ブログではドイツ映画を中心に一人のメナーデ(男ですが)が映画について語ります。独断に満ちていますが、基本冷静です(たまにメナーデらしく狂乱)。まずは88本を目指していきます。最近は止まっていましたが、気が向いたときに書いております。

大島弓子『綿の国星』(「山田玲司のヤングサンデー」から)

漫画家山田玲司ニコニコ動画番組「山田玲司ヤングサンデー」を最近よく見るのだが、少女漫画家の草分けの代表としてよく名前が挙げられる大島弓子

少女漫画はあまり読んだことがないので、いい機会と思い一冊読んでみた。

 

 

冒頭は『綿の国星』ではなく、別の読み切りの一本「夏の終わりのト短調」にまずやられた。

両親が海外に出張でいなくなるということで叔母の家に住むことになるというところから始まる。一つ年上の従兄がいる、という設定でこの恋愛話かと思うと、教育ママとなった叔母が、本当の自分の気持ちに従えずにステータスに囚われていったことの悲哀の話だとだんだんわかっていく。社会批判的!猫の話もそうだが、ステータス(主に学歴とそれに伴うハイスペックな生活のイメージ)に囚われた社会を相対化する視点がものすごくストレートに鋭い。主人公が夢を見るのではなく、冷静に分析が深まっていくという作りが少女漫画でフルに展開されているのが印象的だった。

 

セリフ一つ一つに無駄がなく、かなりきっちり組み立てられている印象。主人公の豆腐屋の幼馴染への視点がすごい共感的で、作者はいい人だなと思う。

 

綿の国星も全体的に社会派と言う感触だが、こちらは猫の視点からの社会の相対化。

また読んでいきたい作品。他の漫画も。

 

少女漫画で知っている範囲で好きなのは池田理代子

自己犠牲と散りゆく美、没落してゆく高貴なものの儚さの美学にとても惹かれる。

 

 

あとはなんといっても『ガラスの仮面』! 「マヤ、なんて娘なの!」(ガーン:白目)

こんなに読み始めて止まらなくなる漫画はなかなか存在しない。

いつか完結するのか???

 

あと、山田玲司はめっちゃいい兄貴。彼の喋りはものすごいわかりやすくて優しい。

読んだ範囲でのおすすめは『アリエネ』