Henry Cow ライヴDVDレヴュー Vevey 1976
奇妙奇天烈でユーモラスかつマジなプログレッシヴ・ロックバンドHenry Cow。
ライヴDVDを観た。前にも観たことがあった1976年の野外ライヴ。
以下のボックスにも収録。
音源だけでは分からない魅力(特にインプロヴィゼイション部分)が満載。
メンバー
Vo. ダグマー・クラウゼ
Dr. クリス・カトラー
G. フレッド・フリス(ヴァイオリンとピアノも)
B. ジョージー・ボーン
サックスとシンセサイザー ティム・ホディキンスン
バスーン等管楽器 リンゼイ・クーパー
変な個性が一丸とならずに共在している。
1. Beautiful as the moon terrible as an army with banners
カメラはダグマー・クラウゼとカトラー中心
カトラーのドラム演奏姿が堪能できる。見ていてドラムセットの上で子供が行進していくようなイメージが浮かんだ。左腕がクルクルしつづけていてとにかく過剰。陶酔しきっているわけではなくて、途中一瞬次どうするか迷うシーンが映ったように思う。
ダグマーは調子は上々、特に変なことはせずに歌う。人民服風の紺色服。歌の入りの合図がかっこいい。ジョージー・ボーンが演奏に集中する姿も映る。
2. Vevey1 インプロ部分
やはり映像があると誰が何をやって、どの音になっているかわかって面白い。ティム・ホジキンスンがサックスふきつつ電子オルガンを弾くキテレツ感が素敵。電子オルガンがキテレツの城。リンゼイ・クーパーは吹くものを入れ替えながら加わってノーメロディーになったあとにサックスとベースが入ってくるところで歓声があがり、徐々に曲へ戻る。この入りのところのフレッド・フリスのピアノがめちゃめちゃかっこいい。弾く姿勢はモグラスタイル(グレン・グールド風)。ギターのときと違って小人みたいに見えます。
3. Terrible as the moon...
曲に戻って、再びカトラーの行進スタイル。かっこいい。
4. Tim Speaks
フランス語 内容はわからないが、アメリカとシャンソンの話。観客からも笑などは起きず。最後ティムがつまってきて苦笑して次の曲へ。
5, No More Songs
ブレヒト歌曲風小品。
カメラ・カット
6, Lithotb ティム・ホジキンソンの曲。曲展開がたくさんある。誰がどうやって展開していくのが映像でわかってライブで見る方が面白い。
ティムのオルガンが空と雲のペイントで可愛い。途中カメラに向かってスマイル。シャイだtたり、演奏者に徹するメンバーも多い中で、ティム・ホジキンスンはそんなにシャイじゃない(フリスがシャイ、カトラーはマジめかつ猛進、ダグマーは素(?)、リンゼイ・クーパーはよくわからない、ジョージー・ボーンは役割に徹している感じ)。
最後の歌に戻ってくるところがやはり感動的。カトラーがロック・ドラマー。
最後の締めがちょっと物足りない。
カメラ・カット
7. Vevey2 インプロ
ダグマーも加わる。ささやきと歌とヴォイス・パーカッション、叫びのミックス。とても色っぽい。ドアの後ろで誰かが何か性的なことをしているのを聞くようなドキドキ感がある。たまに上唇をなめる。
フレッド・フリスはツイン・ネックギター。中盤のスペイシーでもサイケでもない浮遊感。セッションの熱狂もないし、独特の感じ。やったことないけど、プラネタリウムで葉っぱをキメるときに聞きたい。恒星が他の星に依存しないのに、その配置が意味をもつみたいな良さでしょうか。恒星であれば、性別はとりあえず関係ないですが、社会的要素も入れると、メンバー半数がじょちなみにこのライブは野外です。聴衆はリラックスしてみてます。何をしててもいい感じでしょう。ぼーっとしているとRuinsの途中部分(March)が始まります。
8. March
インプロからの流れ。歌つき。楽しいジョージー・ボーンがちょっとうっとりしています。
9. Erk Gah
ティム曲。
カトラーとフリスの鉄筋が同期する映像が面白いです。
ティム・ホジキンソンとリンゼイ・クーパーの動きもたまに同期してて面白い。ティムは相変わらずキテレツ。
多様なメンバーのそれぞれの個性が光るライヴ。ヘンリー・カウが好きな人も、あんまり知らない人もこれを観ると絶対に好きになる!!! ・・・ということでオススメです。