メナーデのドイツ映画八十八ケ所巡礼

メナーデとは酒と狂乱の神ディオニュソスを崇める巫女のことです。本ブログではドイツ映画を中心に一人のメナーデ(男ですが)が映画について語ります。独断に満ちていますが、基本冷静です(たまにメナーデらしく狂乱)。まずは88本を目指していきます。最近は止まっていましたが、気が向いたときに書いております。

COWPERSについて

zArAme(ザラメ)とDON KARNAGEのスプリットCD(およびレコード)を先日購入した。

 

購入が割と変わった形で、レコード保護の段ボールにはボーカル・ゲンドウ氏のサインもあったりして個人的には感動的だったのでそのことについて詳しく書きたいのだが、ゲンドウ氏の前バンドCOWPERSも懐かしくなって聴きだして止まらなくなったので、まずはCowpersについて書きたい。

おそらくこのページに来ている人は、COWPERSにやられている人が多いと思うのだが、zArAmeは聞いたが、COWPERSはまだという人もいるかもしれない。どちらのタイプの人にも読んでいただけたら幸いである。

筆者はリアルタイムでは解散直前のfeedback Insanityを買ったりしていたが、ライブは残念ながら見ていない。そのかわり手に入るものは見つけたら買っていたので、それらについて書く。

 

 

COWPERS

バンド概要

・COWPERS(1992年〜2002年)。ツインギターのメロディの絡み合いが素晴らしい札幌発のパンクバンド。メンバーはvo. gt: 竹林ゲンドウ、gt: 高橋カズトモ、ba: 小森ノゾミ、dr: 浜野ナオフミ(漢字カタカナの表記は割とぶれていたと思う。例えば「竹林現動」など)。同じく北海道出身のブラッドサースティーブッチャーズ、イースタンユース、ファウルなどとよく並べて言及される(ナンバーガール向井秀徳が札幌での解散ライブのMCで敬愛する北のバンドとして、eastern youth, foulなどと並んで挙げていたのが有名)。こうしたバンドとは音も広い範疇でみると似ている。ニルヴァーナ、スーパーチャンク、フガジなどの影響が指摘されるが、ツインギターの絡み合いはカウパアズならでは。シューゲイザーの影響もあるかも。mogwaiなどとは時代を共にしている感じ。バンドの音のバランスが良く、メロディーが結構キャッチーで、人気者になっていたらみんなで歌えただろう曲も多数アリ。バンド名はネタっぽいところもあるが、ギャグバンド要素なし。

 筆者は一時期札幌に在住しており、当地の中古CD・レコード屋に通っていたのだが、確か2004年くらいカウパアズは解散した後に店の人が「この前ゲンドウさんが来てCureのCDを買っていった」と教えてくれた。キュアーはゴスなパンク〜ニューウェイヴバンドだが、当時あんまり知らなくて、ヴィジュアル系の源流みたいな印象を持っていてゲンドウ氏は「色々聞く人なんだな」と思ったのをよく覚えている。その店には割とよく来ていたらしい。

 

アルバムについて、そして曲と演奏の魅力について

Lost Days

 フルアルバムは2枚出している。どちらも名盤。まずは1枚目。

ロスト・デイズ

ロスト・デイズ

  • アーティスト:COWPERS
  • 発売日: 1998/01/21
  • メディア: CD
 

 轟音と叙情性の融合した名盤として名高い『Lost Days』 。一曲目Lostの轟音部分が、同時期のMogwaiなども思わせたり、Curve IIでのViolinも入ってくるメロウな感じもサッドコアなどと言われる同時代ハードコアとの共振を感じさせる。轟音と叙情性の組み合わせというと、同じく札幌出身のブラッドサースティーブッチャーズを思わせるかもしれないが、ブッチャーズや上述のmogwaiなどの音にハマる時とは違って、COWPERSの音は「浸る」というよりもノる感じである。頭でリズムを刻みながら浸る感じといったほうがいいか。COWPERSは、全体にテンポが程よく速いのと、声が鋭いのと、ギターがジャキジャキするのとで、リズムの波に揺られるのではなく、一緒にリズムを刻む感じになる(Curve IIはスローテンポ)。

 アルバム一曲目 Lostビデオ

Youtubeに上がっているもの。アップしてる人に感謝。

 


COWPERS - LOST (MV)

 

曲と演奏の魅力

 カウパアズの中毒性は、ボーカル・ゲンドウ氏の声にもあるが、歌うツインギターにあると思う。リフや間奏部のツインギターの絡みがクセになるのはもちろんなのだが、歌の背後で鳴らされるギターがとても耳に残って中毒性の元になっている。ボーカルに重ねるようにギター(カズトモ氏が弾いてると思われる)が同じようなメロディーを鳴らして補完したり、あるいはもう一個別のメロディーを鳴らしているのだが、これがとても魅力的。叫び声だけだとメロディーとして弱いかもしれないところに、ギターが補う形になっていて、声とギターの相乗効果が起こっている。これは、雰囲気はだいぶ違うがSuedeのバーナード・バトラーのギターみたいな役割を果たしていると思う。

ギターはめっちゃ上手いわけではないと思うけど、多彩。Lost Daysや初期作ではシューゲイザー系の轟音も多用。要素は色々あるがどれも自分たちのスタイルになっている。

ギターと歌の絡みだけでもすごいのだが、ベースもグリグリ動き、かつベースの小森氏のコーラス(というか一部ツインボーカル)も入ってくる。なので、歌、ギター、ベースいずれかのメロディーが常に聞き手に届くようになっている。歌のいずれかのメロディーが耳に残るので、何度も聴きたくなるのだと思う。そしてそれを活かすためにか、音のバランスも、うるさすぎて聞き取れないといったことがない。構成とリズムも「最小限に凝っている」という形で、聞き手を置いてきぼりにしない。

 

Lost Daysの展開

一曲一曲展開や各パートの見せ場がバランスよくなっていていいのだが、アルバム全体の曲はの展開も結構考えられている。パンク系だと、アルバム一枚全部同じような曲みたいなこともあるが、アルバムLost Daysは曲のバリエーションと配置が工夫されていて、一枚通しての統一感をしっかり出しつつ、飽きない作りになっている。

Lostでガツンと始まって轟音系の曲が続くのを4曲めのCurve IIで一旦締める。エモくなりすぎたのを照れるかのように5曲めCrawl Spaceでジャンクな轟音パンクミクスチャー曲を挟んで、6〜10曲目のギターポップパートに移行する。女性ボーカルと力強いギターの組み合わせが印象的な小曲 Out of Bunchから、ゲンドウ節全開のパワーポップ(7曲目)を挟んで、6,7をミックスしたようなDaysに移行。この三曲は曲調も似ていて、組曲的展開。Daysギターアウトロ後に9曲目にCurve。この曲は名前の通り4曲目Curve IIの原型(おそらく)。バイオリンなどなしのパワーポップバージョン。爽快。アルバム前半は重めの轟音、で中盤はパワーポップになっているが、CurveII, Curveの変奏でアルバム全体の統一感が打ち出されている。10曲目は引き続きのパワーポップ。エモいサビが印象的。つなぎの11曲目(つなぎだが、ギターだけじっくり聞けるので良い)を挟んで、1曲目のlostの対になるような12曲目Rustで締める。rust=錆(サビ)はゲンドウ氏お気に入りの言葉のようで、よく使われている。

 

1998年のライブビデオのタイトルはRust Days。youtubeに上がってます。再販してほしい。

インタヴューもあり。メンバー・スタッフ間も仲よさそうです。

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『揺ラシツヅケル』 名盤!

揺ラシツヅケル

揺ラシツヅケル

  • アーティスト:COWPERS
  • 発売日: 2000/07/26
  • メディア: CD
 

このアルバムから歌詞が日本語。それもあって前作よりも歌に重きが置かれている印象。 テンポの速い曲も多いが、スローに聞かせる曲も多い(特に後半)。ツインギターのからみとベースがグリグリいってる感じは健在、というかさらに深化している。ドラムのリズムパターンも前作よりひねりが聞いている。スピード感は前作ほどはないので、好みは分かれるかもしれないが、個人的にはこちらの方が広がりがあって好き(前半でやめることも多いが)。

「玻璃」「斜陽」がリード曲。

 

漢字の感じが文学チックなのも、曲にマッチしていて良い。Nahtに関してちょっと書いたように英詞だから気にならないが仮に日本語だとちょっと恥ずかし区なってしまうような曲やバンドは結構多い。例えば個人的に好きなものだとスマパンの詞は日本語で歌われてたら、ちょっと恥ずかしくなっちゃいそうな曲がちょいちょいある。Mayonaiseとかはギリギリのライン。で、青臭くて恥ずかしくなるの自体は悪いことじゃないと思うが、クールではない。Cowpersは歌詞もエモさも程よく枯れているというか、ちょっと雅語っぽいのを入れて、感情ダイレクトにしてないことによって、距離感とクールさがキープされている。

シングル『斜陽』収録の「予感」

 個人的に一番好きな曲は3曲めの「予感」。アルバムヴァージョンとシングル「斜陽」収録ヴァージョンがある。リンクはシングル収録ヴァージョン。こっちの方が鋭い。

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ギター二本にさらにもう一、二本重ねている。構成は割と単調で、同じことの繰り返しだが、ギターのリフとその音がカッコよすぎるので、何度も聴きたくなる(もちろんベースも歌もドラムも良い。)。「予感」をはじめ、このアルバムでは、なんていうエフェクターの効果かわからないが、高音のハーモニクスっぽい音で鋭い、かつユラユラした音が目立つ。フガジのAugumentとかにも通じる音。Lost Daysはこういう音はあんまりないと思うが、これによって奥行きと深みが増している。シンセサイザーっぽい音も結構鳴っていて、これも良い。

「予感」と同じようにギターアンサンブルが素晴らしい最後の曲「錆色ノ月」は、攻撃的で尖った「予感」とは違って、夜空に向かってギターを鳴らすような叙情的な曲。「何処へ?」という叫びと、ギターの音が心に響く。

アルバムは前半は勢い良く聞ける。後半重めだが、どっぷりハマる良曲揃い。秋の夜長に一人ヘッドホンで聴きたいアルバム。全編を通じて、「斜陽」の歌詞にある「隣人の顔さえ知らず、足元に斜陽をこぼす」などの歌詞に象徴されるように、都会での孤立状況が前提にある。直接的な共有や連帯については語られないが、曲を聴きながら、孤立した者同士が、離れた距離で密かに連帯しているような情景が浮かんでくる(連帯というより孤独の共有といった方がいいかもしれない)。イメージを喚起するような音楽はいい音楽だと思うが、その意味でとても良い音楽である。

 

『揺ラシツヅケル』各曲一行(たまに二行)レヴュー

1 「玻璃」 

絡み合う三本の弦楽器がノンストップで鳴り続ける代名詞的一曲。歌もエモい。

2「 ヤガテソコニイタル」

前曲と好対照のリズム。突っ走り切らないのにテンション高く叫び、ギターも高鳴る。

3「予感」

攻撃的反復ギターアンサンブル。「事件」は起こらずとも高鳴る予感の強さで聞かせる。

「雪」「風」「雨」が「揺らし続ける」情景もエモーショナル。

4 「記憶人」

テンションを抑えた繋ぎ的なインスト曲。それでも鳴り響くギターがエモーショナル。

5「斜陽」

シングル曲。青春を一度終えて恥辱の歳月も知った後の疾走感。サビではまっすぐなギターとコーラスが絡み合う。前に進んでいく一曲。

6「シアン」

前曲とは対照的に、立ち止まり、後ろに引っ張られる曲だが、サビの合唱がまっすぐでエモい。

7「8/1」

前曲に引き続き、ややスローな曲。ギターの音がシンセっぽくて面白い。ギターソロは熱い。

8「揺」

前曲の流れを受けて始まる。スピード感や攻撃性は抑えめだが、情熱的で厚いギターが鳴り響く。

9「錯覚ノ海」

引き続きエモい。間奏部分のヒートアップ感がフガジっぽい(?)。

10「錆色ノ月」

ややサイケなギターと「何処へ」の叫びがエモい曲。展開が結構多くラストを飾るにふさわしい大曲。一旦静かになってからの最後の盛り上がりが圧巻。明るい響きで終わる。

 

Live映像。熱量も演奏も素晴らしいライブ(熱量と表現力のバランスがとてもいい)。曲も玻璃、斜陽、white light white heat, lostと名曲の連続。


COWPERS - 玻璃~LOST (LIVE)

 「玻璃」「斜陽」は2nd 『揺ラシツヅケル』

„White Light White Heat“は200mphとのスプリットcd『Feedback Insanity』

„Lost“は1st『Lost Days』に収録

 

小名盤『Feedback Insanity』

解散前に出した最後のCDで200mphというバンドとのスプリット。

FEEDBACK INSANITY

FEEDBACK INSANITY

 

 このCDに関しては、まず200mphがものすごい。スーパー疾走感のある曲の上に語りと絶叫のボーカルが乗っかってくる(普通の意味での歌はない)。何を歌っているかよくわからないところも多いが、演奏自体が一つの情景として浮かぶ。カウパアズと同じくギターのメロディーがしっかりと伝わるので、訳わからないということもなく、ロマンチックですらある。200mphはしばらく後にアルバムを出していて、本CD曲も再録されているが、勢いはこのCDの方が上。

COWPERSの方は、演奏に一部ブレがあるが(各楽器のリズムが噛み合いきっていない)、『揺らし続ける』の叙情性と冷静さを激しさをキープしながら、深化させたエモい3曲が収録されている。White Light White Heatは展開が面白い。イントロからAメロまでの入りと普通のリズムが入ってくる感じがちょっとガクガクしていて、それも含めてかっこいい。bメロのエモい疾走感から、一瞬止まってサビに行く流れが面白い。In this Cageは歌が印象的。咳から始まるイントロも、徐々にテンションが上がってサビに入る展開もかっこいい。Aメロの抑えた感じとサビの爆発のコントラストが良い曲だと思う。WaveForms of Distortionのギターの感じがシンセっぽくてキャッチー。

 

Split CD

1. 200 mph: 風にまぎれ、時にまみれ

ギターがメロディーを奏で、ボーカルが叫び、ドラムが疾走してグイグイと引っ張っていく。ベースがところどころ唸るのもカッコいい。

8/8拍子の爆発パートとそれを3, 3, 2にした控えめパートの交替で構成されている。どっちもカッコよくて、勢いが最後まで途切れない曲。ボーカルの叫びと詩の朗読的パートのバランスも良い。

2. 200mph: 夏色の川の前で

いきなり始まったと思ったらその後怒涛の6/8拍子で疾走していく。これも爆走パートと静寂パートの交替で単純だが、勢いが続いてカッコいい。

3. 200mph: 静かな川

3/3/2の曲でベースからの入り。ギターの音が華やか。他の曲同様、ボーカルが熱い。詩は全部は聞き取れないが、断片的に聞こえる「思いを超えて響きあう」だけでグッとくる。

4.  Cowpers: White Light/White Heat/ White Room

ここでCowpersに交替。このCDでのカウパアズはギターのエフェクト的なところでサイケデリックな感じがいいアクセントになっている。録音の仕方だと思うが200mphよりバンド全体の一体感というか勢いは落ちる。Cowpersの方は別々にとって重ねた感じがする。勢いは100点ではないが、曲は良曲。Aメロ、Bメロ、間奏、C、間奏でサビに入る展開が面白い。オーラス部分もドラマティック。

5. Cowpers: In this Cage

Cowpers、このCDでは一曲一曲の存在感がすごい。ドラムから静かに入って、バンド、歌と入ってしっかり聴かせつつ、自然とサビに入る展開からまたAメロへの展開。「砂を噛む」のフレーズが耳に残る。Aメロもサビも二回目でパワーが増す構成になっている。間奏〜Cメロ〜サビの盛り上がりもカッコいい。

6. Cowpers: Waveform of Distortion

ドラムから入る。このCDのCowpersの音の分離感はドラムの音がしっかり聞き取れる生々しさにもよると思うのだが、それが際立つ曲。この曲は弦楽器のアンサンブルとサビ部分のコーラスがとにかくカッコよくて、リズムをもっとこなれた感じにできなかったんかと思うところもあるが、何回も聞いていると結局それがいい味になっている。変な単語も使われているが全編歌詞がしっかり聞き取れてよくわからないなりに共感を誘うのがいい。最後のシンセサイザー(?)での味付けもいい。

 

ということで、もしこのCDを見つけたら是非手に入れてください。

どっちのバンドも何度聞いてもかっこいいです。

 

おまけ Nahtについて

COWPERSと同時期に活動して、親交もあったバンドにNahtがいる(スプリットCDも出している。ツインギターで歌メロを大事にする点なども似ている。Nahtの方が、個々のプレイのうまさだったり歌やメロディーのインパクトは上のところもあると思う。しかし、個人的には上で書いたような全体のバランスと各パートが交互にメロディーを響かせるアレンジなどの力でカウパアズの方に魅力を感じる。

 

Nahtは3枚か4枚アルバムをだしていると思うが、ここでは、1枚目と2枚目を紹介。まずは1枚目。

NARROW WAYS

NARROW WAYS

  • アーティスト:NAHT
  • 発売日: 1999/07/30
  • メディア: CD
 

ギター・ボーカルのseikiはL'Arc〜en〜Ciel声で普通に上手い。サビが大体インパクトのあるメロディーなのだが、それ一本でサビを繰り返していくパターンに個人的には少し飽きてしまう。サビ前の展開などは大体格好いい。ギターは刻みがかっこいいのとピッキングハーモニクスなどの技が光る。ドラムがうまいけど曲に有機的に統合されきっていない感じが残るのと、ベースが目立たないのが残念。間奏や楽器だけになるところのメロディーが弱めなのが、Cowpersとの違い。またリズムや構成が割と複雑で、何回聞いても覚えられない部分が残る。と、不満を述べたが、1曲目、2曲目や5曲目a couple daysなど、特に前半いい曲が多い。


NAHT - A Couple Days- from Narrow ways

 

2枚目のアルバムはギターが抜けて代わりにviolinが入っている。叙情性を増しているが、上で挙げた「弱点」がむしろ目立つ。とはいえ、かっこいい曲も多く、実質1曲目に置かれたeither way you wantやAs Carma goesは名曲。

the spelling of my solution

the spelling of my solution

  • アーティスト:NAHT
  • 発売日: 2000/10/21
  • メディア: CD
 

 


NAHT 「either way you want」(the spelling of my solution)

英語だからあまり気にならないとはいえ歌詞がなんか青臭い。しかし、そこも含めていい曲。この曲はベースも歌っていて良い。

As Karma GoesはEastern Youth主催のコンピレーション・アルバム『極東最前線』にも収録。こちらはバイオリンがシンセサイザー(か何らかの電子楽器)っぽい。アルバムよりもサイバー感が強くて、ちょっと加工感のある強度だが、こっちの方がキレがあってかっこいいと思う。

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ということで、文句もつけましたが、Nahtもとても良いです。

両バンドとも、1stアルバムの方が激しく、スピード感が前に出るのに対して、2ndが、スローで内省的な要素も強めているという点も似ています。

Nahtと比べるとカウパアズの特色は、各人の声や演奏の良さもさることながら、全体としてメロディーを活かす構成、各楽器へのパート振り分けと飽きずにわかりやすい曲構成を考えていることにあるというのがわかります。

 

Cowpers初期

4giga

4giga

  • アーティスト:COWPERS
  • 発売日: 1995/01/01
  • メディア: CD
 

初期のシングルなども再録したミニアルバム。ジャケの絵は誰がかいたんだろうか? ゲンドウは結構アニメファンらしいとかの噂も(4 gigaのフォウがZガンダムフォウ・ムラサメに通じるとの発言をしたとかしないとか・・・個人的にはzガンダムはツボ)。内容はアマゾンレヴューにある「ハードコアなのにメロウ」というのが個人的にもしっくりくる。snow bird(の特にベース)がキャッチーで良い他、後半の方の長い曲(確かBig Muff)も良いです。ギターの単音遣い、ディストーション具合とキレの良さのバランス、音の洪水も用いるなどバリエーションが多い。ベースもグリグリ動いて耳に残ります。ボーカルは叫びも多いがぶっきらぼうに歌うメロディーもどこかキャッチー。「泣き」の感じは、この頃はそんなにない。CDは購入が難しいようなので見つけたら購入をお勧めします。

 

EVERY LITTLE SINGLES

EVERY LITTLE SINGLES

  • アーティスト:COWPERS
  • 発売日: 1998/07/23
  • メディア: CD
 

発売は、上のものより後だが、初期シングルを集めたものなので、音源的にはこちらの方が初期のもの(?)。手元にないので細かい点は忘れたが、snow birdを始め、被ってた曲が少しあったはず。ハードながらも、これもアマゾンレヴューにあるように、聞いていくとキャッチーな部分が光る。泣き要素は後期に比べるとない。まだ購入可能の様子。4gigaにも収録のsnow birdはこちらにも収録だが、別ヴァージョン。アレンジが結構違うがどちらも良いので聞き比べがいあり。

 

カウパアズは注目されていたんだと思うが、メンバーの私事のため2002年に解散。残念。

カウパアズの解散に関しては、確かドラマー浜野氏が家庭の都合でバンドを続けられないという話をネットのどこかでみた記憶がある。食ってくためにはバンドは続けられないといった意味と理解した。インディーバンドに関してたまに聞く話で、いつの時期か忘れたがイースタンユース吉野寿も、月給30万円欲しいと何かのインタヴューで言っていた。バンドで「成功」するのは難しい。だが、そんな中でやっていたのだと知ると、非常に親近感を覚える。

ちなみに『揺ラシツヅケル』発売前に一時期カズトモ氏が脱退していたらしい。その時も上京するか否かみたいな生活基盤に関わる話だったらしい。

cowpers / 揺ラシツヅケル | ignition

このサイトはリアルタイムで聞いてた人が書いてるものみたいでかなり面白いです。

 

ブッチャーズ 

ちなみに、Cowpersが「七月」をカバーしているブラッドサースティー・ブッチャーズに関してもかなり「生活」をめぐる軋轢が(あんなに有名なのに!)あったことはこのビデオ冒頭でものすごい伝わってくる。2011年のドキュメンタリーフィルム。

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Nahtのセイキが出てきたりもしたりします。バンドの軋轢が生々しすぎるけど、実際バンドがうまくいったり、いかなかったりする瀬戸際みたいなものがヒリヒリするほどに・・・

て言うか、子供は吉村、田渕の子? カウパアズから離れるけど、なかなかすごい内容。ブッチャーズファンの人は知ってるものかもしれませんが、びっくりした。

Rage Against the Machineとフェスで共演(?)した時の吉村らの(レイジファンへの)反発とレイジのザックに実際会ったら、ザックが紳士的で結構いいヤツだった時の感じとか色々面白い。1時間25分くらいからのベース・イモリヤ氏の「ライブしか見栄を切る場がない」とかの発言も心震わせる。「テンポが速くて歌いづらい!」云々のやりとりも、リアル。ビデオではバンド全体としてのいい話に回収されてるが、実際のところ小松氏的にはかなりムカつくだろうな・・・とか、いろいろリアルな部分が映ってるのが魅力。

kocorono [DVD]

kocorono [DVD]

  • 発売日: 2011/06/15
  • メディア: DVD
 

 

・・・

本記事を書いたのは、zArAmeでもレコードをネットを介してだが手売り的に売っている感じにとても感動したことがきっかけである。zArAmeはまだそれほど聞いていないので、またあらためて書きたい。zArAmeはコロナのためか2020年に活動を休止している模様だが、ゲンドウ氏はおそらく健在。今後も注目。zarameについても記事を書いたので、よければご覧ください。

 

callmts.hatenablog.com

 

amazonのリンク貼ったりしながら言うのもなんですが、zarameに関しては音源が本人たち運営のところで直で買えます。200mphとのコラボcdもまだ買えます。

 

disruff.theshop.jp