メナーデのドイツ映画八十八ケ所巡礼

メナーデとは酒と狂乱の神ディオニュソスを崇める巫女のことです。本ブログではドイツ映画を中心に一人のメナーデ(男ですが)が映画について語ります。独断に満ちていますが、基本冷静です(たまにメナーデらしく狂乱)。まずは88本を目指していきます。最近は止まっていましたが、気が向いたときに書いております。

バチェラー・ジャパン 地獄の評価ゲーム

バチェラー・ジャパンを初めて見た(シーズン1)。

 

陰キャ非モテ時代が長い私(男性)は、その心性が染み付いているので、この手の番組はなんとなく遠ざけて見ていなかったのだが、酔っ払った勢いでなんとなく見てみたら意外にも面白かった。

 

 

面白いと思う点は、選ばれる側の女性が、バチェラーと愛し合う関係にあるのかを考えているのか、単に自分が評価=承認されるのかを考えているのかで結構態度が違う点である。というか後者の方にどんどんみんな傾いていく。

 

バチェラーの側は(おそらくは)実際に結婚相手となりそうな人を探している。本来は女性側も誰が自分に合うのかを選ぶ側にあるのだが、この場では東大卒のイケメン実業家という超ハイスペックで「誰もが羨む」バチェラーが相手という設定もあって、彼女らは彼に選ばれる=自分の価値が承認されるというゲームを心理的に始めている。

 

まわりくどい説明で恐縮だが、本来は、「ハイスペック」に承認されることが、自分が肯定されるということとイコールではなく、自分が一緒にいることで幸せでいられるような相手が、相手もそう思って一緒にいるようなことがカップルとしては望ましいのではないか?そう考えると、彼に選ばれることが幸せではなく、彼と一緒にいることが幸せなのかどうかを判断することをしていなければいけないはずである。

 

なので、彼女らのうちの少なくとも一部は結婚相手を探しているとは見えず、単に自分が承認されるか否かを確かめているようになっている。ローズセレモニーの2回目あたりからその点が顕著になっていて、選ばれたい理由が、バチェラーと結婚したいからではなく、単に薔薇が欲しいからというゲームに移行し出している。

 

このゲームは、小学校くらいからさらされる評価されゲームであり、例えば非モテ系はそうしたゲームが繰り返される中で自分が選ばれない存在であるという感覚に見舞われる中でそのメンタリティを形成していく。このゲームにさらされる以前に、自己肯定感が育っていた場合は、表面的印象では選ばれないだけであって、自分は大丈夫だと思えるだろうが、そうでなかったら、かなりしんどい。シーズン1の途中で薔薇を送られて––––薔薇をもらうと次のステージも残れる––––断るwebクリエイターの女性(34)は、ゲーム自体のしんどさを理由にそこから離脱するが、彼女の選択は賢明だと思う。パートナー探しは評価されゲームではなく、実際に一緒にいられる相手かを確かめる行為であるはずだからである。

 

評価されゲームの中でモテてきたと思われる女性(=美人)であればあるほど、むしろこの評価されゲームの中ではしんどいかもしれないと思う。放っておいてもチヤホヤされてきた自分は黙っていても評価されるべきなのに、ここで選ばれない可能性を強烈に突きつけられる。それゆえ、「あの子ではなく私が選ばれたい」という気持ちが高まっていく。そう森田冴英である。

 

このゲームに入り込んだが故の嫉妬はかなり強烈で、この嫉妬の顔は演技ではあり得ないような強さを持ってカメラに収められている。「ゲームに負けた」と言う感覚になった時に本気で涙を流すのがかなり強烈で、見応えがすごい。

 

面白いのが、この時に、泣いている競争相手に普通に同情して声をかけたりする女性(坂本くるみ)もいることである。実際付き合うならこういう女性がいいのではないかと個人的には思う。ただ彼女もだんだん評価ゲームにハマっていってしかも敗退する。

 

もう一つ面白いのが芸能活動の一環で出てるだけの「ゆきぽよ」の感情の起伏が「ほぼ無」である点である。なんで彼女に薔薇がいくのかもほとんど意味不明である。

 

ともあれ、ただ相手を探す場合であれば、「あいつは見る目がない」で終了でokなはずが、負けたと言うことで本気で悔し涙になっていく。そして、この評価ゲームで負けた悔しさには参加者が共感できるので、結構もらい泣きも生じるのも面白い。

 

評価=承認欲求の暴走が先鋭化するのが露呈している場面が、ツーショットタイムでの会話である。本来は、相手のことを知るための時間であるはずだが、意識は完全に「自分が何位なのか」「誰が一番なのか」に向かっていて、そのことをバチェラーに聞いてしまうのだ。

 

それに対して、技術なのかどうかわからないが、バチェラーのことを「好きになった」とちゃんと言う女性は少し違う原理で動いているようで好感がモテる。

 

バチェラーだが、最初はやはり「イケすかない」と思ったが、意外にもいいやつで、上記の女性たちの激烈な感情にも配慮しながら紳士的に振る舞うのは、かなり大変なんではないかと思う。これをやり切っているので「さすがだな」としか思わなくなってくる。ほんで見る目も流石に結構ありそうなのである。

 

エピソード7まで見て結構面白いが、このあたりからひとりづつ減っていく展開が遅くなってくると思ったら、次は水着である(!)。番組としてはよくできている(笑)。

 

とりあえず次も見てみたい。

 

予告編。

 

と思いつつググったら誰が選ばれるか知ってしまった(ガーン)!

 

 

 

 

こんなんもあったが、この地獄のゲームから何を学ぶんだろう?