メナーデのドイツ映画八十八ケ所巡礼

メナーデとは酒と狂乱の神ディオニュソスを崇める巫女のことです。本ブログではドイツ映画を中心に一人のメナーデ(男ですが)が映画について語ります。独断に満ちていますが、基本冷静です(たまにメナーデらしく狂乱)。まずは88本を目指していきます。最近は止まっていましたが、気が向いたときに書いております。

『フランス組曲』 占領下のフランス、ドイツ将校と恋に落ちてしまった人妻は・・・

2014年、イギリス、フランス、ベルギー映画

ソウル・ディブ監督、ミシェル・ウィリアムズマティアス・スーナールツ主演。

フランス組曲 [DVD]

フランス組曲 [DVD]

  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: DVD
 

 

ナチス・ドイツ占領下もの。特にフランスはレジスタンスものでよく映画になるが、これは住宅に間借りしたドイツ軍の将校と恋に落ちてしまって・・・という話。原作はユダヤ系でフランスで作品を発表していた。アウシュヴィッツで死んでいて、死後『フランス組曲』の原稿が発見され出版。ベストセラーになった。映画は、そのうち一編を映画化。

 

映画の特徴

話自体は、オーソドックスな「敵なのに好きになってしまったドラマ」。ミシェル・ウィリアムズが、貞淑さの内に秘めた様々な「不満」をうまく醸し出している。

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ミシェル・ウィリアムズ主演

 

第二次大戦ものということでの特色は次のような点。

・占領下のフランスの田舎の感じが細かく描かれる。義母が地主で取り立てに行く場面などもあって面白い。

ドイツ軍の将校が人間として描かれる。恋に落ちる相手なのだから当然ではあるが、全体にドイツの軍人がそこまで非道には描かれていない。これは軍人がSS(ナチス親衛隊)ではなく国防軍だからということもある。国防軍はあくまで職業軍人で、必ずしもナチス党員ではない。反乱分子の処刑やユダヤ人狩り、収容所移送を行うのはSS。

 

参考までに過去記事。

callmts.hatenablog.com

 

 義母役のクリスティン・スコット・トーマスはいかにも義母らしい義母を好演。戦地にいった息子を愛し、嫁を「教育」中。最初は嫌な感じの人だが、最後はそうでもない感じで終わる。

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義母(右)は地主で取り立てに回る。

恋に落ちるドイツ人将校役はマティアス・スーナールツ。真面目な将校を好演。

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スーナールツはベルギーの俳優。

 

ドイツからはトム・シリングが出演。ニーチェを引用しながら、人妻にちょっかいをかけようとするなど徹頭徹尾嫌なやつの役。

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トム・シリングは嫌なドイツ人将校役。

 

またアレクサンドラ・マリア・ララユダヤ人役(ちょい役)で出演。

 

 

その他気になる点

フランス人とフランス人、フランス人とドイツ人が英語でしゃべっていて、ドイツの軍人同士だけだとドイツ語というのが最初違和感あり。フランス語版は英語でなくてフランス語なのだろうが。

 

メロドラマ部分が燃え上がりきらないのが、個人的には残念。

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U-Nextで視聴可能です。