恋するイケメン・ゲーテ 『ゲーテの恋』 2010年ドイツ映画
一言で言うと
若いイケメン・ゲーテが、田舎町の美しい娘と恋に落ちるが、泣く泣く諦める話。
作品情報
2010年ドイツ映画、原題 „Goethe!“
監督:フィリップ・シュテルツェル、出演:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライプトロイ。
一応伝記映画といえる。ゲーテがベストセラー『若きウェルテルの悩み』を書くにいたった経緯がわかる。ただし、各人物の詳細や人間関係、時間の前後などについては変更されたり脚色されたりしている。イケメンなゲーテのイメージ映画として観るぶんには問題ない。誰でも楽しめる作品だと思うが、とくに美男美女(の悲恋)が好きなひとにオススメである。
1 俳優たち
まずは主演のゲーテ役:アレクサンダー・フェーリング
この映画でのゲーテはやや軽薄かつ怠惰かつ陽気なイケメンである。最初法学の口頭試験を受けて失敗するのだがそのあとのシーンが爽快。
フェーリングは、大規模映画では本作が初主演。この作品の前もタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』などにも出ている(最近子供ができた兵士役)ので見た事あるひともいるかもしれない。このあと『顔のないヒトラーたち』(2014)でも主演。『小さな独裁者』にも出ている。
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陽気なイケメン顏(への偏見)のため、あまり「知的」な役は回ってこない印象。
本作では青年ゲーテの快活さと楽観的な自信、そしてまだ何者でもない不安と絶望に打ちひしがれるもろさをうまく演じ分けている。
恋人シャルロッテ・ブフ役:ミリアム・シュタイン。
シャルロッテは兄弟姉妹の世話を焼く、勝気な娘。ミリアム・シュタインはエマ・ワトソンとか、2000年くらいのスマッシング・パンプキンズのベーシストメリッサに似ている可愛い美人。
美男・美女の二人がいい感じの衣装で出てくるので、それだけでもかなり楽しめます。上の写真のゲーテのスタイル(青フロックコート、黄色ベストとズボン)は当時流行。二人が反発しながら、くっついていく様は王道の展開。ゲーテが勇気を出して自作の詩を読み上げるシーンはちょっと感動的です。濃厚なラブ・シーンもありますので、ご家族やご友人と観る際はご注意を。
恋敵役:モーリッツ・ブライプトロイ
ゲーテの恋敵ケストナー役は、ドイツ映画界のスター、モーリッツ・ブライプトロイが演じる。ブライプトロイは、アラブ系、乱暴者から内気な数学教師や差別主義者の変態教師まで役柄は幅広い彼だが、今回は堅物役。こういうのも似合う。
堅物ケストナーからみるとゲーテはちゃらんぽらんで最初はうまくいかないが、おたがい次第に信頼をおきあう展開も王道。シャルロッテとケストナーの関係を知った後のゲーテのせつなさは、なかなかよい。
そのほか、ゲーテの友人イェルーザレムがいい味を出している。
この人についてはそれほどシーンが多いわけではないが、どれも印象的。快活なシーンもボロボロになったシーンもよい。演じるのはフォルカー・ブルフ。
映画の展開
前半、イェルーザレム、シャルロッテと知り合って、恋仲にいたるまでの展開はとても気持ち良く見られる。後半、いろいろな葛藤が入ってくるところは見ていてつらいが、最後は晴れやかに終わる。ひとまず最初の10分で入っていけたら、後は最後まで観れる映画。
現実のゲーテとの関係
『若きウェルテルの悩み』は1774年に出版されたゲーテの作品。当時センセーションを起こしあのナポレオンも喜んで読んだ本。ウェルテルに感情移入する若者が多く、ウェルテルスタイル(上の方のゲーテのスタイル)が流行したという。
漫画でも
オススメポイント
上でも書いたように悲恋ものあるいは美男美女が好きだったらオススメ、ゲーテあるいは歴史劇に興味があるひともオススメ。あとは、俳優などに興味があればオススメである。
みてほしいシーン
・ゲーテが街をかけぬけ、馬車に飛び乗るシーン
・ゲーテが落第するシーン
・ゲーテとイェルーザレムが飲みすぎるシーン
・イェルーザレムが人妻に翻弄されているのがわかるシーン
・シャルロッテが「バカみたい」というセリフから後の展開
・ラブシーン
などなど、けっこうあります。
現在U-nextで視聴可能。