ジミー・チェンバレン
Smashing Pumpkins(スマパン)について昨日書いたが、今日はそのドラマー、Jimmy Chaimberlinジミー・チェンバレンについても少し。
スマパンは稀有なバランスの上に成り立っていたバンドである。個人的な印象で簡単にまとめると・・・
ビリー・コーガン。ほとんどの曲をつくり、ボーカルとギターを担当。ハードなギターソロなども、もう一人のギタリスト、ジェイムズ・イハではなく、ビリーが担当。
ジェイムズ・イハ。沖縄出身の祖父母をもつ日系アメリカ人であるイハはアルバムごとに1、2曲を作る他、ギターはリフやエフェクト的な部分を担当。かといって単なるオマケではなく、ルックス的にも、音楽的にもなくてはならないアクセントになっているように思う。サイアミーズのsomaとmayonaiseはジェイムズ・イハとビリー・コーガンの共作。ソロアルバムの感じからいってもメロウな感じの曲が得意。日本でファンが多かった。
ダーシー。女性ベースで目立つ。ビリー・コーガンとの折り合いなどの関係でマシーナで脱退。アルバムではベースはビリーが弾いていたとかの話もあって、プレイヤーとしてはあまり注目されないが、存在感やバンドの見た目としては決定的に重要。ダーシー抜きのオリジナルメンバーで現在活動しているが、やはりダーシー的なものが重要だったと思わされる。
ジミー・チェンバレン。今回特に紹介したいドラマー。パンプキンズの中でも、きまって凄腕ドラマーとして注目される。ビリー・コーガンはライブだとけっこうムラがあるが、ジミーはそもそも抜きん出ているから、多少のムラがあっても無問題。
ビデオは「ジミーの代表曲」とも言えるgeek u. s. a (ピエロ付き)
Smashing Pumpkins - Geek USA live (clowns)
DVDに収録されてます。
下半身が戦車で、上が千手観音みたいなプレイです。
筆者はドラムも演奏するので、この曲をコピーしようとしましたが、足の安定感を失わずに安定したパワーを維持して一曲通すのはしんどい曲です。戦車的にドドンドドドンドやるだけならできても、フィルインなどでリズムがちょっと変わるところで大体手と足がバランス悪くなって疾走感とパワーがダウンしちゃいます。ジミー・チェンバレンは、下半身がずっと戦車でみだれません。
そして、むしろ上手なのは、手のコントロールの方で、パワーでぶった切るプレイではなくて、指、手首、肘を見事に使い分けた安定したスティック・コントロールが特徴です。子供の頃はマーチングバンドやジャズバンドで練習したらしいので、その頃からの練習の賜物なんでしょう。ちょっと珍しいアングルからのビデオ。曲はサイアミーズの名曲Hummerです。
Smashing Pumpkins - Hummer (Pinkpop Festival 1994) (drum angle cam)
スマパンの曲についてよく言われるのが静と動ですが、この曲もパワフルなリフ部分と静かでスペイシーな感じのところに分かれてますが、それぞれでのプレイの強弱、特に静の部分での細かい指づかいやスティックさばきに目がいきます。
メタル系だと、細かい要素はギターなどでかき消されて聞こえないので、ニュアンスはなくしてパワーヒット一択、アタック強調に加工というタイプのドラムも多いと思うんですが、ジミーの場合はだいたい生の音で強弱つけてるプレイです。
ジミーはメロンコリーのツアー中にキーボードプレイヤーと一緒にドラッグをやっていて、キーボーディストが死亡したことで事件になって、解雇され、バンドも混乱。『マシーナ』で復帰。現在の再結成にも参加。2000年代はソロ・プロジェクトも立ち上げ、最近ではジャズもプレイ。
次のはドラム・クリニックでのソロ。ツインペダルを使ってるみたいです。ツーバスだけど、メタルっぽいスクエアな感じではなくて、ジャズ要素が入ってる感じ。基本のフレーズを展開していく感じなのでノレます。タムタムを交えてつくるリズムがカッコイイ。
Jimmy Chamberlin @ Vic's Drum Shop in Chicago
ソロプロジェクトはクールです。これはリリースされていないヴァージョン。デヴィッド・ボウイのアラジン・セインなどでピアノを弾いていたマイク・ガーソンと共演。ピアノ有りもカッコイイ。
Jimmy Chamberlin Complex - Streetcrawler (feat. Mike Garson)
アルバムでは、キーボードの感じが違う。こっちのが雰囲気的にはいいかも。
とにかくジミー・チェンバレンは腕がたちます。もちろん、もっと上手い人はいるかもしれませんが、ロック・バンドではなかなかいないタイプなように思います。例えばニルヴァーナのデイヴ・グロールもパワフルでカッコイイですが、指先まで使ったプレイが目立つのはロックではジミー・チェンバレンならでは。スマパンのアルバムではだいぶ抑えてるか、とりあえずコンパクトに録ってるのかもしれません。
ライヴだと、だいたいちょっと突っ走り気味で、フィル・イン(連打したり目立つ部分)が多かったりして面白いです。
したのはメロンコリーのときのツアーから。昔はちょっとでもみたくて東京まで行ってブートレグ・ビデオ買って見てました。
THE SMASHING PUMPKINS - AN ODE TO NO ONE (LIVE )